山道を歩く時に足の負担や疲労を軽減させて、歩行の補助をしてくれる「トレッキングポール」
使わなくても歩くことはできるので必須の道具ではないけれど、足にかかる衝撃を和らげたりバランスをとりやすくしてくれるので、あった方が楽に歩くことができます。
私は山歩きを始めたばかりの頃には持っていませんでしたが、ある時に山で友人のものを借りて使ってみたらとても楽に感じ、翌日の疲れの残り方も全然違っていました。もうこれは自分も買うしかない!
あらかじめネットや雑誌で情報を調べ、友人や店員さんからの評判も聞き、お店で実際にたくさんのポールを試してみた結果、いちばんいいと感じた「TWIST125(シナノ)」を購入しました。
その後何度も山に持って行って使用しており、とても満足しています。これからトレッキングポールの購入を考えている方に向けて「シナノ TWIST125」のレビューと、トレッキングポールの種類や選ぶポイント、私が購入する時に比較したものをお伝えします。
トレッキングポールを使ってよかったこと
山歩きを初めた頃の私は、トレッキングポールはもっと高齢になって体力がなくなってきてから使うものだろうと思い込んでしまい使っていませんでした。ところがその後、登山のいろいろな本を読んだりテレビを見たりするうちに、若くて体力のある登山のプロの方たちもみんなトレッキングポールを使っていることにようやく気が付きました。
実際に使ってみると、最初は少しぎこちない歩き方になっていましたが、慣れてきたら本当に楽。なんでもっと早く使わなかったのか・・・と。
実際に使ってみて感じるトレッキングポールを使ってみてよかったことは、次の3つです。
1,登りや平地で前に進む力を得ることができる
トレッキングポールを使うことで、下半身だけではなく上半身の力も活用でき、前に進む力をより得ることができます。登りでは杖のように使うことで体を引き上げる時に腕の力もプラスすることができるので、使わない時よりも楽に前に進める感じがします。
2,不安定な場所でバランスがとりやすくなる
急斜面や滑りやすいところなどの足場が不安定な場所では、ポールを使うことで3点または4点が地面についた状態になるので、バランスがとりやすくなり、ケガや転倒を防ぐことができます。
特にポールのありがたさを実感するのが、1日の後半にだんだん疲れがたまってきて踏ん張りが利かなくなってきた時。そんな時は簡単なところでもバランスを崩しやすくなるので、ポールがあると支えになることが多く、楽に状態を保つことができて安心です。
3,足腰にかかる負担が軽くなる
特に下りの場面では、脚や膝に大きな負担がかかりますが、ポールを着地する少し前の地面について使うことで衝撃を和らげることができます。筋肉や関節にかかる負担が軽くなるので、使っていなかった頃よりも疲れにくくなりました。
ただし、あまりポールに力を掛けて頼り過ぎると、ポールが折れてしまい危険なので、あくまでもバランスを整えて軽く支えてもらう程度に使うのがいいですね。
トレッキングポールの種類と選ぶポイント
トレッキングポールには形状や調整方法、素材などいろいろな種類がありますので、選ぶ際のポイントついてご紹介します。用途や体形にあわせて適切なものを選びましょう。
1,グリップの形状
グリップ(持ち手)は「I型」と「T型」の2種類があります。
- 「I型グリップ」
平地や登りで使うと進む力を得やすいため、登り下りのある登山での使用には「I型」がおすすめ。片手を空けたい場合など状況によっては1本で使うこともあるが、2本持って使うことが基本。 - 「T型グリップ」
ゆっくりしたペースで歩く方や、平坦部が中心のハイキングには「T型」がおすすめ。
1本を片手のみで使用することが基本。グリップを上から握って力を掛けるので腕が疲れにくく、杖のように体を支えたりバランスをとる場面には向いている。
私は登り下りのある登山で使うことが多いので、「I型グリップ」のものを選びました。
2,ポールの収納方式
持ち運びや使わない時のために短くできるものがほとんどですが、その方式は主に「折り畳み式」と「伸縮式」の2種類があります。
- 「折り畳み式」
分割されたシャフトの中にコードやワイヤーを通して連結されていて、分かれているところで折りたたむことができる。「伸縮式」と比較すると強度が弱くなりますが、収納時に短くなるところが利点。 - 「伸縮式」
太さの違うシャフトを重ねて収納し、使う時はそれを引き出してロックを掛けて固定して使用。「折り畳み式」と比較すると丈夫だが、長いのでリュック外側に取り付けて持ち運ぶ。
ふたつのいちばんの違いは収納時の長さ。「折り畳み式」は34cm~40cmくらいまでの長さ、「伸縮式」は55cm~60cmくらいの長さのものが多いです。
3,シャフトの素材
トレッキングポールの棒の部分(シャフト)の素材は、主に「カーボン」と「アルミ」の2種類です。素材によって強度や重さ、金額に違いがあります。
- 「アルミ製」
強度と耐久性が優れていて、強い荷重が掛かった場合にはカーボン製よりも折れにくいのが特徴。カーボン製よりも重いものが多い。 - 「カーボン製」
アルミ製よりも軽くてしなやかさがあり、衝撃吸収性に優れているのがいいところ。想定以上の荷重が掛かった場合には折れる可能性があり、アルミに比べると高価な場合が多い。
4,シャフトの長さ
自分の身体にあった長さのものを選ぶことが大切です。平地でトレッキングポールを持って地面を突いた時に、肘が直角に曲がる長さが目安。登りではそれよりも少し短め、下りでは少し長めがちょうどいい長さとされています。
状況によって長さを調節ができるように、自分の身長にあった長さから5~10cm程度は長さ調整可能なものを選ぶと使いやすいです。グリップの部分が長くなっているつくりのものをあり、その場合は状況にあわせて握る位置を変えて対応できます。
折り畳み式トレッキングポールの比較とレビュー
購入するにあたって、こだわったのは次の4つ。
- 持ち運びやすさ(収納しやすさ)
- 軽さ
- グリップの持ちやすさ
- メーカーのメンテナンスやサポート体制
この条件で探すと、費用の高いものになってしまうのが悩ましいですね・・・。それでもリュックの中に収納できる長さになることが私の中での絶対条件だったので、比較したものはすべて折り畳み式。グリップは「I型」で、長さ調整ができるものです。
長さ調整ができないタイプもあり、その方が余分な仕組みがない分だけ軽くなるのですが、状況によって長さ調整した方が使いやすいので、今回は長さ調整ができるものを検討しました。
商品 | 重量(1本) | 収納長 | 使用サイズ | 素材 | タイプ |
---|---|---|---|---|---|
フォールダーTWIST 115/125 (シナノ) | 228g(115) 230g(125) | 36cm(115) 37cm(125) | 100~115cm(115) 110~125cm(125) | カーボン | 折り畳み式 |
ディスタンスカーボン FLZ (ブラックダイヤモンド) | 162g 176g | 34cm 37cm | 95~110cm 110~125cm | カーボン | 折り畳み式 |
ディスタンスFLZ (ブラックダイヤモンド) | 195g 210g | 34cm 37cm | 95~110cm 110~125cm | アルミ | 折り畳み式 |
クレシダFXカーボンAS (LEKI) | 258 g | 40cm | 110~120cm | カーボン | 折り畳み式 |
※定価は2023年9月時点の金額
そしていろいろ悩んだ結果たどり着いたのが「フォールダーTWIST125 (シナノ)」です。
実際に購入して使ってみたレビューと、検討したポイントなどをお伝えします。
私が使っているのはこれ!
フォールダーTWIST125 (シナノ)
商品名 | フォールダーTWIST125 |
メーカー | シナノ |
重量(1本) | 230g |
収納時の長さ | 37cm |
使用サイズ | 110~125cm (身長目安155~181cm) |
タイプ | 折り畳み式 |
長さ調整 | 可 |
素材 | カーボン |
色 | 2色(ブラック、アーバンカモフラージュ) |
メーカーHP | sinano.co.jp |
折り畳み式ならリュックの中に収納することができる
「TWIST125」はこんな風に折り畳むことができ、収納した時の長さは37cm。私は山へ行く際の移動は基本的には電車なので、リュックよりも飛び出さない長さということが絶対条件でした。
駅や電車の中で長いポールをリュックの脇に付けている方をよく見かけるのですが、振り向いた時や階段を登る時など、後ろにいる人はかなり怖い思いをするのですよね。東京付近でいえば特に中央線はホントに危険だなと思うことが度々あるので、自分がポールを持つ際には絶対に気を付けたいと思っていました。
こちらはコンパクトでリュックの中にも収納できるので、とても持ち運びがしやすくて満足してます。
アンダーグリップが長く、少しの高低差では持ち替えて使えるので便利
グリップ部分の持ちやすさは、こちらもブラックダイヤモンドのものも両方握りやすかったのです。そして「TWIST125」はアンダーグリップの部分が長いので、わざわざ長さ調整をする程でもない高低差では握る位置を変えることで調整することができるので使いやすいと感じています。
カーボン製なので軽いが、他にもっと軽いものもある
ほぼ同じ長さの「ディスタンスカーボンFLZ」は1本の重さが176gなのに対して、「TWIST125」は230g。ちょっと重いですね。
実際に持ってみると、歩いている際の重さはこのくらいの差であれば、そんなには負担にならない感じでした。ただ持ち運ぶ際のことを考えると2本分の差になるので、この点で最後まで悩みました。
長さ調整や折り畳みがとても簡単にできる
折り畳み方法は、ツイストロックという方式の操作です。ボタンを押すタイプだと指をはさむこともありますが、このツイストロック方式は、ボタンの上のカバーのような部分を上に引っ張って90度回転させて差し込むだけの簡単操作で折り畳みができます。
長さ調整はレバーロック方式で簡単に操作できます。クルクル回して調整するタイプのものは固く締めてしまい動かなくなる場合もあるので、特に女性には軽く操作ができるレバーロック式は使いやすいと思います。
はじめてさわる時にはちょっとドキドキしましたが、どちらもホームページに動画説明もあるのでわかりやすいです。
安心の日本製。説明がわかりやすくメンテナンス体制もしっかりしている
シナノは1919年に創業された日本のメーカー。国内一貫生産していて、特にグリップは日本人の手の大きさを配慮した形状や素材などにこだわりをもってつくられており、ホームページを見ると、そのモノづくりへの情熱や想いが熱く語られています。
ポールの選び方や使い方、メンテナンスの仕方も細かくわかりやすい記載があり、初心者でも安心して使い始めることができるようになっています。
また使っていくうちには、曲がったり折れたりすることがあるかもしれません。そんな場合にも日本で製造しているメーカーであれば、修理が可能かどうかを相談しやすいのも安心できるところ。修理や部品交換の費用がホームページに載っているので、修理か買い替えかの判断もしやすいです。
ポール先端のゴムにはフープ型形状の脱落防止ストッパーがついていて、落ちにくい工夫がされています。山道を歩いていると先ゴムが落ちていることがあるので、この落ちにくい工夫(特許あり!)はいいですね。
購入にあたって比較したその他のトレッキングポール
フォールダーTWIST115 (シナノ)
上記の「TWIST125」よりも短いサイズがこの「TWIST115」です。こちらは身長の目安が141cmから167cmなので、女性はこちらの方がぴったりな方が多いかもしれません。
(私は身長167cmなので「TWIST125」を選びました。)
商品名 | フォールダーTWIST115 |
メーカー | シナノ |
重量(1本) | 228g |
収納時の長さ | 36cm |
使用サイズ | 100~115cm (身長目安141~167cm) |
タイプ | 折り畳み式 |
長さ調整 | 可 |
素材 | カーボン |
色 | 2色(ブルー、ボルドー) |
ディスタンスカーボンFLZ(ブラックダイヤモンド)
商品名 | ディスタンスカーボンFLZ |
メーカー | ブラックダイヤモンド |
重量(1本) | 162g / 176g |
収納時の長さ | 34cm /37cm |
使用サイズ | 95~110cm / 110~125cm |
タイプ | 折り畳み式 |
長さ調整 | 可 |
素材 | カーボン |
色 | 1色(ウルトラブルー) |
ブラックダイヤモンドの折り畳み式で長さ調整ができるカーボン製のモデル。コンパクトで軽いので、最後までこれにするか、シナノ「TWIST125」にするかで悩みました。
1本の重さが176gととても軽いところが魅力的で最初はこれにしようと思っていたのですが、実際に持ってみたところ、私は「TWIST125」の方が握りやすかったことと、アンダーグリップの部分が長い方が登りの際に持ち替えることができて使いやすいことを考えて、結局「TWIST125」を購入しました。
ディスタンスFLZ(ブラックダイヤモンド)
商品名 | ディスタンスFLZ |
メーカー | ブラックダイヤモンド |
重量(1本) | 195g / 210g |
収納時の長さ | 34cm /37cm |
使用サイズ | 95~110cm / 110~125cm |
タイプ | 折り畳み式 |
長さ調整 | 可 |
素材 | アルミ |
色 | 1色(ピューター) |
ブラックダイヤモンドの折り畳み式、アルミ製のモデル。カーボン製である上記の「ディスタンスカーボンFLZ」と比較すると少し重くはあるが、シナノのカーボン製「TWIST125」よりも軽い!
アルミ製なのでカーボン製に比べると価格が安いところもいいですね。
クレシダFXカーボンAS(LEKI)
商品名 | クレシダFXカーボンAS |
メーカー | LEKI |
重量(1本) | 258g |
収納時の長さ | 40cm |
使用サイズ | 100~120cm |
タイプ | 折り畳み式 |
長さ調整 | 可 |
素材 | カーボン |
色 | 2色 |
こちらは「マカルーFXカーボンAS」のレディスモデル。全長を短くして、グリップの径が細くなっていて、女性の手でも握りやすい仕様です。
アンチショックシステム(地面を突いた際の衝撃を吸収する機能)がついているので手首への負担は軽くなるところは魅力的ですが、他のものと比較すると重さと折り畳んだ際の長さでは劣るので、こちらは選びませんでした。
ポールの部分がホワイト色でスッキリしていてきれいなところと、アンダーグリップが長くて握りやすいところがいいなと思い、最後まで候補に残っていましたが、やはり長さと重さ、メンテナンス性を優先してシナノ「TWIST125」を選びました。