心地よく暮らすための12のこと check

自分の手を動かしてつくること

現在家や事務所の片付けを進めているので、それとは逆行してしまう話なのですが、私は雑貨や器、家具、インテリアなど、モノが大好き。

失敗も重ねながらこれまでたくさんのモノを使ってきて、今ではかなり自分の好みがわかるようになってきました。シンプルなデザインでありながら、素材、使い勝手のいいモノ。

言葉にするのは簡単ですが、そんなものに出会うのはなかなか簡単じゃないですよね。最近では欲しいものがない時は、少しずつ自分でモノをつくるようになりました。

私は住宅設計の仕事をしていて、家についても同じように考えています。シンプルで暮らしやすくて安心安全な家を、できるだけいい素材を使ってつくる。

そんなことを考えて設計しているのですが、家づくりにおいては、住む方のご要望を聞いて、考えて、設計し、現場のチェックをするところまでが私の役割。実際に手を動かして家をつくり上げるのは、大工さんをはじめとする職人さんたちになります。

どうやってつくるのか、細かいところまで納まりを考えたり図面をかいたり、監督さんや職人さんと打ち合わせを重ねながらつくっていくのですが、実際につくるのは私ではない。

それは当たり前のことだけれども、自分でつくれないことをもどかしく感じることがあって、自分で考えたことを自分の手でカタチにすることにとても惹かれます。自分で考えて、自分でつくりたい。

そんなことを思ってはじめたのがレザークラフト。革で鞄や小物をつくっています。3年間ほど教室に通って習い、多少は自分で考えてつくることができるようになりました。

手縫いでつくった自作のバッグと革小物

教室に通うまで知らなかったのですが、革には動物の皮を加工して革にするまでの加工の仕方(なめし方)に大きくわけると2つの方法があります。

ひとつは「クローム鞣し」といって、化学薬品(塩基性硫酸クロム)を使って鞣す方法。作業時間が短く、一般的にはこの方法で加工されている革が多いそうです。

もうひとつは「タンニン鞣し」といって、植物の渋(タンニン)を使って、時間をかけて鞣す方法。時間も手間もかかる方法ですが、出来上がった革は丈夫でしっかりとした質感の革になります。

タンニン鞣しの革でつくられたものは、使っていくうちに経年変化で色や手触りが変化して、どんどんいい雰囲気になっていきます。手入れが必要だけれども時間とともに育っていく感じが大好きで、自分でつくる時にはタンニン鞣しの革を使います。

私が革を好きになったのは、友人に教えてもらい20年くらい前からずっと好きで使っている「genten」の鞄がきっかけ。はじめて使ったのは、厚いタンニン鞣しの革を使ってつくられた「アマーノ」というシンプルなトートバッグでした。

このバッグが好きで使い過ぎて、もうボロボロ。汚すぎて今はほぼ使ってないですが、とってもいい風合いになっています。こんな感じでできるだけ革のよさをいかしたものが好き。ずっと長く使えるのっていいですよね。

タンニン鞣しの革は、切り口がほつれてこないので、そのまま切りっぱなしで使うことができるのも好きなところ。いいタンニン鞣しの革を購入するのもなかなか大変ですが、習っていた革教室ではイタリアのいいタンナーの革を注文することができたので、素人ながらに贅沢にも「ミネルバリスシオ」とか「ブエブロレザー」とかを使ってました。

その他浅草橋にはレザーショップや金物のお店もたくさんあるので、いろいろ見て選ぶこともあります。

ブエブロレザーでつくった手縫いのバッグ

自分でつくると、入れるものにあわせてちょうどいいサイズにできるし、肩ひもや持ち手の長さや太さも好みのものにできるし、なにより材料費だけなのでいい素材のものを使うことができるのがいいですね。

時間もかかるのでそんなにたくさん作れるわけじゃないけれど、手作りはこれからも続けていきたいと思っています。

財布は細かくて自分ではうまくつくれないので、既製品を購入しました

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