木曽駒ケ岳は標高2,956mで中央アルプスの最高峰。歩き始める千畳敷まではロープウェイで一気に上がってくることができるので、手軽に絶景を楽しむことができます。
早朝から登りはじめれば十分に日帰りができる山ですが、せっかくなので山頂で朝日を見たりしてゆっくり過ごしたかったので、山頂の少し手前にある駒ヶ岳頂上山荘に宿泊し、1泊2日で行ってきました。
1日目の後半は雨に降られてしまいましたが、2日目は天気がよくなり、最高の眺めを楽しむことができました。
- 日程
2023年8月2日(水)、3日(木) - 登った山
木曽駒ケ岳(標高2,956m) - 所在地
長野県木曽郡 - コース
[1日目]千畳敷→乗越浄土→中岳→駒ヶ岳頂上山荘(宿泊)
計約1時間30分
[2日目]駒ケ岳頂上山荘→木曽駒ケ岳(日の出)→駒ケ岳頂上山荘(朝食)→木曽駒ケ岳→馬ノ背→濃ケ池→駒飼ノ池→乗越浄土→千畳敷
計約4時間 - スタート地点までのアクセス
高速バス:新宿バスタより駒ヶ根バスターミナル
路線バス:駒ヶ根駅バス停→しらび平駅
ロープウェイ:しらび平駅→千畳敷駅
「駒ケ岳千畳敷カールきっぷ」を使い高速バスで木曽駒ケ岳へアクセス
私は山へ行く時にはほとんどが交通公共機関での移動です。東京方面から交通公共機関で木曽駒ケ岳に行くには、電車で行く方法と、高速バスで行く方法があります。
高速バスを使った方が料金が安くなるので、今回は高速バスで行くことにしました。
高速バスで行く場合、「駒ヶ岳千畳敷カールきっぷ」という、バスタ新宿からの高速バスと路線バス、駒ヶ岳千畳敷ロープウェイの往復乗車券がすべて含まれているセット券があります。価格は11,500円(2023年)。
あらかじめ電話で予約をしておき、当日の朝にバスタ新宿4階(バスの出発フロア)の窓口で支払い、発券をしました。混雑具合は日時によると思いますが、私はまったく並ぶことなくすぐに発券していただけました。電話の予約時に希望の往復の高速バスの時間を聞かれ、予約をします。
新宿からの高速バスは、伊那線の「駒ヶ根バスターミナル」か、飯田線の「中央道駒ヶ根インター」で下車して、路線バスに乗り換えます。路線図と時刻表は伊那バスのホームページで確認を。私は路線バスの始発駅に近い方がいいと思い「駒ヶ根バスターミナル」から行きました。
バスの座席が空いているかどうかは、ハイウェイバス ドットコムで検索すると確認できます。「駒ヶ岳千畳敷きっぷ」を購入する場合はこのサイトでは予約せずに、空席があるかどうかを確認するだけにして、電話でチケットを予約する際に希望のバスを伝えます。
窓口で3枚のチケットを受け取りました。チケットの使い方はこんな感じです。
- 行きの高速バス乗車時
高速バスのチケット(写真中央)を見せて乗車。降車時に運転手さんが回収。 - 行きの路線バス乗車時
路線バスとロープウェイの引換券(写真左)を見せるだけ。 - ロープウェイ乗車時
ロープウェイ乗り場の窓口で、引換券(写真左)をチケットに引き換えてから乗車。ロープウェイの往復券と帰りの路線バスのチケットが渡されます。改札で引き換えたチケットを見せるとスタンプが押されます。 - 帰りの路線バス乗車時
上記の引き換え時に渡されている路線バスのチケットを見せて乗車。途中下車する場合は運転手に見せるだけ。 - 帰りの高速バス乗車時
高速バスのチケット(写真右)を見せて乗車。降車時に運転手さんが回収。
ちなみに通常で購入すると、合計で13,290円かかるところ、このチケットだと11,500円。バスやロープウェイの運賃は日程によって異なるので、土日祝日などであればもっとお得になりますね。
・高速バス(新宿-駒ヶ根バスターミナル):4,200円×2=8,400円
・ロープウェイ(大人往復):2,790円
・路線バス(駒ヶ根駅前-しらび平駅):1,050円×2=2,100円
ただし、発券後の変更は窓口でしかできないので、帰りの便があらかじめ決められない場合は、後から変更できるように別々に購入する方がいいかもしれません。混雑時はロープウェイが1~2時間待ちになることもあるようですので。
高速バス(伊那線駒ヶ根車庫行き)
7:35 バスタ新宿発
↓
11:30頃 駒ヶ根バスターミナル着
↓ 徒歩4分程度で移動
路線バス(ロープウェイしらび平駅行き)
12:00発 駒ヶ根駅発
↓
12:45頃 しらび平駅着
↓
駒ケ岳ロープウェイ
13:00頃 しらび平駅発
↓
13:08頃 千畳敷駅発
高速バス:バスタ新宿→駒ヶ根バスターミナル
7時35発の高速バス(伊那線 駒ヶ根車庫行き)に乗車。出発の10分前から乗車開始です。途中の双葉サービスエリアで休憩をして、11時30分頃に駒ヶ根バスターミナルに到着。
路線バス:駒ヶ根駅→しらび平駅
駒ヶ根バスターミナルから路線バスへの乗り換えは、徒歩1分のところにある「すずらん通り」バス停からも乗車できます。始発の駒ヶ根駅の次が「すずらん通り」バス停です。
11時30分のバスに乗れるかと思っていたら、ギリギリ間に合わずに乗れなかったので、4分ほど歩いて路線バス始発の「JR駒ヶ根駅」へ移動しました。
12時発のバスに乗車して、ロープウェイのしらび平駅に到着したのが12時45分。窓口でチケットを引き換えて、13時発のロープウェイに乗車しました。
ロープウェイ:しらび平駅→千畳敷駅
しらび平駅から千畳敷駅までは、7分30秒で高低差950mをロープウェイで一気に上昇。ガラス張りの窓からは周りの景色がよく見えてワクワクします。
千畳敷の駅を降りると、すぐ目の前にこの景色が!こんなに手軽にこの千畳敷カールのエリアは登山の用意がなくても気軽に散策できるので、多くの人でにぎわっていました。この時の千畳敷の温度計は18度。
午前中はもっと晴れていたようですが、午後からはだんだんとガスが上がってきていて、空の色もだんだあやしい感じに・・・。青空の千畳敷カールが見たかったので残念ですが、それは明日の楽しみにとっておき、早めに山小屋を目指して歩き始めました。
1日目:千畳敷→乗越浄土→中岳→駒ヶ岳頂上山荘
13:30 千畳敷
↓
14:00 乗越浄土
↓
14:10 宝剣山荘
↓ 雨宿り休憩
14:30 中岳
↓
15:00 頂上山荘到着
千畳敷駅から左の方向に進み、駒ヶ岳神社に参拝してから、宿泊予定の「頂上山荘」を目指します。ロープウェイで一気に上がってきたので、高度に身体を慣らすために少し景色を眺めてボーっとして、13:30頃に出発しました。
千畳敷から乗越浄土に向かうあたりは、高山植物がたくさん咲いていてとてもきれいです。天気が悪くなりつつあったので急きながらも、お花の写真って撮りたくなっちゃうんですよね。
駒ヶ岳神社を出発してから10分くらいで八丁坂分岐に到着。ここから先は急坂がはじまるので、しっかりと山歩きの装備が必要になります。
八丁坂を登りはじめて30分くらい歩き、あと少しで乗越浄土に到着というところで、雨が降り始めました・・・。最初はポツポツ降る程度でしたが、その後は結構激しくなってきたので、雨具を着て途中の宝剣山荘に向かいました。
宝剣山荘で少し雨宿りをしましたが、雨があがる気配もないので覚悟を決めて出発。途中の中岳に登り、そこから下ったところにある頂上山荘を目指します。雨が降っていたので、ここから頂上山荘までの写真はありません。
雨の降る中をがんばって歩き、15時頃に「頂上山荘」に到着。小屋の前がテント場になっています。
小屋は1泊2食で13,000円(1名)、テント場2,000円(1名)です。
小屋はあらかじめ電話で予約をして、当日受付の際に現金でお支払いをします。
受付を済ませて小屋の中に入っても、しばらくは雨がずっと降っていたので、夕焼けはあきらめてその後は部屋で過ごしていたところ、雨があがり空が明るくなってきました!
日の入りは18時50分頃なので、17時からの夕食をいただいてから夕焼けを見に行きました。雲が出ていたので少し夕日が隠れていましたが、それでも十分にきれいで大満足。
小屋は2階が宿泊の部屋になっていて、部屋にはコンセントがあるので充電ができます。トイレや手洗いもきれいに管理されていて、とても気持ちよく過ごせました。水は外にある水栓から自由にいただくことができます。
夕食は鶏のから揚げと煮魚、ワカメのスープとごはん。とってもおいしくいただきました。
2日目:駒ケ岳頂上山荘→木曽駒ケ岳→馬ノ背→濃ヶ池→乗越浄土→千畳敷
木曽駒ヶ岳山頂での日の出
朝起きると少しずつ空が明るくなりはじめていました。そして満月もとってもきれい!
頂上山荘から木曽駒ケ岳の山頂までは10分程度。この日の日の出は4時50分頃なので、4時30分頃に小屋を出発して山頂に向かいました。
木曽駒ケ岳の山頂に到着すると、すでに日の出を待つ多くの人。360度どこを見てもきれい!雲海もよく見えました。
頂上山荘とは反対方向に下ったところには、もうひとつの山小屋「頂上木曽小屋」があります。そちらの方向を山頂から見下ろすと、その先には御嶽山が見えます。
頂上では日の出を見るのもいいのですが、まわりの山々が朝日に照らされたところが美しくて好きなのですよね。
上の写真は木曽駒ケ岳の山頂から頂上山荘の方向を見たところ。テント場の前が開けていて、その方向に日が昇るのでここからも朝日がきれいに見えます。
木曽駒ケ岳の頂上で日の出を見た後は、一度頂上山荘に戻り5時30分から朝食をいただきました。山頂と山小屋が近いっていいですね。
駒ケ岳頂上山荘→木曽駒ケ岳→馬ノ背
そして準備をして、6時10分頃に山小屋を出発しました。
2日目はもう一度木曽駒ケ岳の山頂に行き、そこから馬ノ瀬の尾根歩きをして、濃ヶ池行き、乗越浄土に戻ってから千畳敷に戻ります。
この日はとても天気がよかったので、遠くの山並みもきれいに見えました。10分ほど歩いて木曽駒ケ岳山頂に到着。朝日を見に来たので2回目になりますが、時間が違うと見え方もまた違いますね。
山頂には神社があるので、参拝してから先に進みます。
朝6時30分頃の木曽駒ケ岳山頂。この時間はまだ泊まった人しかいない状況なので人が少なく、ゆっくりできました。天気がよくかなり晴れていましたが、山頂は風が強く、その場にとまっていると上着を着ないと寒いくらい。
このところ毎日35度以上という真夏日を過ごしている日常を思うと、この気温と風の心地よさがとても幸せでした。
木曽駒ケ岳山頂からは馬ノ瀬に向かいます。ここからは大きな岩のある場所がありますが、あまり難しいところがない歩きやすい道でした。雨が降って濡れていると滑りやすいので要注意です。
ルートを示すロープが張ってあるところが続くのでそれに沿って歩いて行くのですが、途中で急に目印になるものが消えて、どっちに行くのか迷うところも何度かありました。
私はヤマップ(GPS)の地図を見ながら、ルートを外れていないかどうか確認して正しく歩けました。本当にいつもありがたいです。
この日はとても天気がよく、尾根を歩いているとどちらを見ても遠くの山並みがはっきりと見えました。アルプスの山々や富士山、御嶽山などを見て、ワクワクしながら進んで行くのです。
木曽駒ケ岳を降りて振り返ると、昨日登った中岳と駒ヶ岳頂上山荘が見えました。下の写真の真ん中あたりに写っているのが頂上山荘です。
私は木曽駒ケ岳山頂に行ってから馬ノ背の方に来ましたが、山頂を経由せずに小屋の前から馬ノ背方面につながるルートもあります。こちらは高低差が少ないので地図によると15分くらいで歩けるようです。
馬ノ背→濃ヶ池→乗越浄土→千畳敷
岩場の登り下りを繰り返しながら進み、しばらく行くとサルの群れに出会いました。いっぱいいたのでこっちに来たらどうしよう・・・と少しビビりましたが、全く何もなかったです。
最高に気持ちのいい尾根歩きが続きます。木曽駒ケ岳の山頂から濃ヶ池分岐のポイントまでは、だいたい1時間10分くらいです。
振り返ると下にはこれから向かう濃ヶ池が見え、遠くにはその後に向かう宝剣山荘や乗越浄土が小さく見えます。いい景色ですが、いちど濃ヶ池まで降りてから、またあの高さまで登るのかと思うと、ちょっと怖くなってきますね。
濃ヶ池分岐のポイントから15分くらい下って「濃ヶ池」に到着。思っていたよりも水が少なくて小さめの池でした。山の上から見下ろす景色は最高だけど、歩いてきたところを見上げるのもいいですね。
池の周りで休憩しようと思ってましたが、この日は日差しが強くて暑すぎたので、近くの木陰で少し腰を下ろして休みました。
濃ヶ池からは宝剣山荘、乗越浄土を目指してひたすら登っていきます。大きな岩があったり、水が流れているところを横切ったりするのですが、目印が見えないところも結構あるので、本当にここであってるのかなと迷うところもありました。雨が降っていたり、水量が多い時は注意が必要ですね。
途中には高山植物が咲いている場所も多くあり、うれしい気持ちにさせてくれます。
しばらく歩くと「駒飼ノ池」に到着。水がほとんどなくて、看板がなければここが池だとは思わないようなところでした。季節や天気が違えばもっと水が多いのかもしれません。
濃ヶ池から1時間20分くらい歩いて、宝剣山荘(写真左の青い屋根)の前に到着。右側に見える赤い屋根が天狗荘。見えるのになかなかたどり着かない感じがちょっとキツかったです。
宝剣山荘のあたりからこれまで歩いてきた場所を見下ろしたところ。この尾根を歩いて、降りて、また登ってきました。結構高低差がありますね。ここで少し休憩してから、千畳敷まで戻ります。
前日はこのあたりから雨が降ってきてしまい、あまり景色を楽しむことができなかったので、この日の青空が本当にうれしかったです。木曽駒ケ岳に登るところよりも、この八丁坂の方が急でキツく感じました。とはいえしっかりと歩きやすいように整備されていて安心できます。
八丁坂や千畳敷カールにはこの季節は高山植物がたくさん咲いています。
昼頃になると、少し雲が出てきました。それでも少し経つとまた青空が出てきて、きれいな千畳敷の景色を見せてくれました。
乗越浄土から40分ほど歩いて千畳敷まで降りてきました。この山並みと青空、最高の景色です。ここまでロープウェイで簡単に上がって来れるのは、ホントいいですよね。
帰路:千畳敷→しらび平→駒ヶ根バスターミナル→新宿
千畳敷のデッキに座って、この景色を眺めながらお昼を食べてゆっくり過ごしました。
この日は平日だったので、そんなに混雑しているというほどではなかったです。ロープウェイは臨時便が出ていましたが整理券が出るほどではなかったので、ほとんど待つこともなく乗車。混雑している時にはロープウェイが3時間以上待ち!とかになることもあるみたいです。
ロープウェイでしらび平駅まで降りると、すぐにバスがきて乗ることができ、45分ほど乗車して駒ヶ根バスターミナルに到着しました。
駒ケ岳ロープウェイ
13:00頃 千畳敷駅発
↓
13:08頃 千畳敷駅着
↓
路線バス(駒ヶ根バスターミナル行き)
13:20発 しらび平駅発
↓
14:05頃 すずらん通り着
↓
高速バス(新宿行き)
15:00 駒ヶ根バスターミナル発
↓
19:20頃 バスタ新宿着
行きの時と同様に、路線バスでしらび平駅から駒ヶ根バスターミナルまで移動し、予約していた15時発の高速バスに乗って帰りました。途中の双葉サービスエリアで休憩をはさみ、新宿へ向かいます。
予定では18時45分に新宿到着となっていましたが、途中で高速道路が渋滞していたので、新宿に到着したのは19時20分頃でした。
参考にした本や雑誌
今回の登山にあたって参考にした本を紹介します。コースや地図、写真などとても参考になりますが、発行当時と状況がかわっていることもありますので、必ず最新情報の確認を。
『ヤマケイアルペンガイド 中央アルプス』
コースの紹介や難易度、アクセスなどが詳しく解説されており、別冊になっている詳細な地図もついています。事前の計画段階だけではなく、実際に歩く時に見る地図としても十分に使用できる内容です。いろんな山域ごとにまとめられているシリーズのうちの1冊です。
『大きな地図で見やすいガイド 南アルプス・中央アルプス』
コースの紹介や難易度、アクセスなどが詳しく解説されています。地図が詳しくてわかりやすいです。
この本は電子書籍「Kindle Unlimited」では読み放題で読むことができます。
「Kindle Unlimited」は月額980円で200万冊以上の本が読み放題。初めての方は30日間無料で利用することができます。この本の他に、登山の雑誌や本も数多く含まれていますので、登山が好きな方にはとってもおすすめです。
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雑誌『夏山JOY2022』
「木曽駒ケ岳だけのコース」や「木曽駒ケ岳と空木岳を縦走するコース」は多くの本に紹介されているのですが、今回私が歩いた「木曽駒ケ岳と濃ヶ池をまわるコース」はあまり紹介されていないのですよね。
そんな中、雑誌「夏山JOY2022」には今回の「木曽駒ケ岳と濃ヶ池をまわるコース」が紹介されています。(114、115ページ)。ちなみにその記事によると、このコースは「体力度★1、技術度★2」(4段階評価)です。
この本は電子書籍「Kindle Unlimited」では読み放題で読むことができます。
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終わりに
初めて行った木曽駒ケ岳は、手軽に訪れることができるとても気持ちのいい場所でした。千畳敷カールはもちろんですが、今回歩いた馬ノ背のコースの紅葉もとてもいいみたいなので、またぜひ他の季節にも行ってみようと思います。
とっても満足度の高い山旅でした。
紙の地図はこちら