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【初心者向け】はじめての山歩きを楽しむための基本装備と道具

晴れた日に低山を歩くのであれば、普段の服装や靴でも大丈夫なのでは、と考える方もいるかもしれません。私も山歩きを始める前はそう思っていました。

けれども山では急に天気が変わったり、風や雨がひどくなることもありますし、足場の安定しないところを歩くこともありますので、山歩きに適した装備が必要になります。

そんな山の中で安全・快適に過ごすために、まず最初に準備したい山歩きの基本の装備と道具をご紹介します。

目次

山歩きの基本装備3点

山歩きの装備の中でも特に大事なのが、「登山靴」「バックパック(リュック)」「雨具」の3点です。選ぶ際に私が大切にしているポイントを紹介します。

レインウェア

山歩きの基本装備
山歩きの基本装備であるバックパック、レインウェア、登山靴

天候が変わりやすい山の自然環境の中で雨や風から身を守ってくれるレインウェアは、山の服装の中で最も重要なもの。ジャケットとパンツに分かれた上下セパレートタイプで、防水透湿性の高いものがおすすめです。

防水性が必要なことはもちろんですが、透湿性も重要。体から出た湿気が服の内側にこもると服が濡れてしまうので、湿気を外に排出してくれる透湿性がある素材のレインウェアであればとっても快適。

自分の体形にあったものや着心地のよさも大切です。私が最初に購入したレインウェアは少し厚めで生地がしっかりしていたので、動きにくかったことと、シャカシャカ大きな音がするのも気になっていました。

畳んだ時のサイズも大きかったのでリュックの中で場所をとっていたので、2枚目に購入する時には軽くて少し伸縮性のあるものを選びました。

レインウェアは防水性だけではなく防風性も高いので、風が強い時や冷たい時にも活躍してくれます。

確認しておきたいポイントは次の3つ。

レインウェアを選ぶ際のポイント
  1. 防水透湿性
    ・防水性だけではなく、湿気がこもらないような透湿性のあるもの(ゴアテックスなど)を選ぶ
  2. 軽さ、持ち歩きやすさ
    ・重いと着ている時に肩が凝ってくるだけでなく、持ち歩く時に荷物が重くなってしまうので、適切な性能があるものの中で軽いものを選ぶ
  3. 自分の体形に合っているかどうか
    ・長い時間着用することもあるので、着心地のよさも重要。サイズがあっているかどうか、動いた時にも問題がないか、フードをかぶった時にきちんと前が見えるかどうか

登山靴(トレッキングシューズ)

基本の山道具
基本の山道具

山では舗装されていない山道や岩場を長い時間歩くことになるので、山のレベルや目的にあった登山靴を選ぶことが大切です。

これからどんな山に行ってみたいかをイメージしてから、登山専門店で店員さんに相談して選ぶが理想的です。直近で行きたい山だけではなく、少し先の将来どのくらいの山まで登りたいのかを話すのがいいですね。

日帰りのハイキングや低山だけにしか行かない場合と、1~2泊程度の山小屋泊の場合と、長いテント泊の場合では荷物の重さや道の険しさ、環境が変わってくるからです。

ちなみに。
私が現在履いている登山靴を購入した際には、ショップの店員さんに「日帰りの低山にも行くけど、もう少し山に慣れてきたら、山小屋に2~3泊してアルプスの山を歩きたい」という話をして、いくつかの靴を提案してもらい、試し履きをしてから選びました。試し履き、重要です!

ちなみに私が現在履いているのは、SCARPA(スカルパ)というイタリアのメーカーの「ZGトレックGTX」。ハイカットのタイプです

最初は自分が登りたい山がなかなかイメージできないかもしれません。そんな場合には最初は「ミッドカット」の登山靴を選ぶのが安心です。

くるぶしまでの丈があれば、足首をしっかりと安定させてくれるので捻挫の予防になりますし、「ハイカット」よりも足首の自由度が高いので、初心者のうちは歩きやすく感じる方も多いと思います。

水たまりを通過したり、雨が降ることもあるので、防水性能の高いものを選ぶのが安心です。

確認しておきたいポイントは次の3つ。

登山靴を選ぶ際のポイント
  1. 自分の足にフィットしているかどうか
    ・長さや幅、甲の高さが合っているかどうか
  2. ソールの硬さ
    ・行先や荷物の重さにあった硬さのソールを選ぶ
  3. 防水性
    ・水の侵入を防ぎながらも内部からの湿気を外に出すゴアテックスなどの防水性の高い素材を使ったものが好ましい

バックパック(リュック)

大切な道具を入れて背負うために必要なのがバックパックです。行先や日数、季節にあわせて何を持っていくのかをイメージすると選びやすくなります。

大きさ(容量)は、日帰りでは20~30リットル程度、山小屋泊30~50リットル、テント泊なら50リットル以上の大型リュック。これが一般的な目安になります。

確認しておきたいポイントは次の4つ。

バックパックを選ぶ際のポイント
  1. 自分の体にフィットしているかどうか
    ・背面中(背中の長さ)、ベルトやストラップの位置や形状
  2. 重量
    ・フレームやパッドを少なくして軽くしているものもあるが、それにより収納のしやすさや背負った時の快適さが違うので、軽さだけで選ぶことがないように
  3. 通気性
    ・背面のメッシュパネルによって空洞をつくり、通気性をよくしているものもある
  4. ポケットの位置や量
    ・物の出し入れのしやすさや、サイドポケットの使いやすさや収納量をチェック

雨が降った時にバックパックに被せるレインカバーがセットになっているものもあります。カバーが付属していない場合には、大きさにあったレインカバーを別途で購入しておきましょう。

私が宿泊登山の時に使っているバックパックは、グレゴリーの38Lサイズのものです

最近は軽量化されたバックパックも人気があって、各メーカーから多く発売されています。

実際にお店でいくつも試してみたところ、少し重さがあってもフレームが入っているものの方が安定していて、私にとっては背負いやすかったので、これにしました。

日帰り登山の時には、ミレーの28Lくらいのリュックを使っています。最初の頃は1泊程度の小屋泊の時にもこれを使っていました。

実際の重さと、背負ってみて感じる重さは異なりますし、体形によってフィットするものが違ってきますので、実際にお店でいくつも試してみることをおすすめします。

今年の夏は3泊くらいの山歩きを予定しているので、もう少し大きなサイズのものを購入予定です。

必ず持っていくべき道具

上記の3つの基本装備以外にも、天気や行き先にかかわらず持っていくべき道具があります。
(ここでは初心者向けに、日帰り登山を想定しています)

持っていっても使わないこともあるかもしれませんが、自然の中ではアクシデントが起きる可能性が高くなるので、準備はしっかりとしておきましょう。

ヘッドランプ

日帰りの山歩きであっても、途中でトラブルがあり予定通り下山できずに日没を迎える可能性もあるので、ヘッドランプは必ず持っていきましょう。

使うシチュエーションが様々なので、明るさや照らす範囲を変えられるタイプのものを選ぶと使いやすいです。

電池式のものと充電式のものの2種類がありますが、充電式で使われているリチウムイオン電池はアルカリ乾電池よりも低温に強いので、できれば充電式のものがおすすめです。両方の電池が使えるタイプのものもあります。

私はペツルのティカというシリーズのものを使っています。明るさは300ルーメンですが、今のところこれで十分です。

ティカは単4アルカリ電池3本での使用の他に、別売りの充電式バッテリー「コア」も使用できるので、もしもの場合を考えて、私は両方持っていってます。

地図

コースを確認したり現在位置を把握するために、地図は絶対に必要なもの。最近ではスマートフォンのアプリを使って確認することもできますが、故障やバッテリー切れになる可能性もあります。

スマートフォンだけに頼るのではなく、紙の地図もあわせて持っておきましょう

地図は旺文社の「山と高原地図」が見やすくておすすめ。エリアごとに地図が販売されていますので、自分の行く場所にあわせて購入します

山のガイド本でおすすめなのは、山と渓谷社の「アルペンガイド」シリーズ。山域ごとにわかれていて、ルートや地図などが詳しく紹介されていて、とても読みやすいです。

この本を見ながら、次にどこの山に行こうかを考えるのがワクワクするのですよね。しっかりとした地図が別冊でついていますので、掛かる時間の目安や高低差が確認できて、計画しやすいです。

水、水筒

山歩きの際には熱中症や脱水症状にならないように、早めに適切な水分補給が必要です。途中で水を調達できないこともあるので、あらかじめ十分な量の水を持って歩きます。

行動中に体から失われる水分量は下記の式で求められるといわれています。私はこれを参考に計算して、もう少し多めに持つようにしています。

行動中の脱水量(ml)=体重(kg)×行動時間(h)×5

例えば「体重50kgの人が6時間のコースを歩く場合」は、50×6×5=1,500ml です。

こんなにも多くの水分が失われることになるので、その分をしっかりと水分を補給しなければなりません。一気にたくさん飲むのではなく、休憩ごとに小まめに水を飲むことを心掛けていくのが理想的。

水筒には、軽くて丈夫な「プラスチックボトル」、熱いお湯を持ち運び暖かい飲み物を飲むことができる「保温ボトル」、コンパクトで超軽量な「折りたたみ式水筒」などがあります。

私が使っているのは、サーモスの山専用ボトルの500mlサイズ。他にも750ml、900mlがあります。主に寒い時期にお湯を持っていき、休憩時にコーヒーや紅茶、スープをつくるのに使っています。

その他には、水用にサーモスの一般的な500mlの水筒を持ち、もう1本ナルゲンの1Lボトルを冷凍させて持っていくことが多いです。

冷凍する時には破裂防止のために、水を入れるのは900mlまでとし、フタを閉めずに冷凍庫にいれましょう。山に登っているうちに少しずつ溶けていきますので、途中で飲みたくなるころにちょうど水になっている感じです。

ナルゲンのボトル本体の体熱耐冷温度は100℃~-20℃。軽くて丈夫であり、パッキンがなくても液漏れしにくいつくりのキャップなので、清潔に長く使えます。

ちなみに飲み物を飲む時に使っているのは、スノーピークの「ダブルチタンマグ」の300mlのものです。サイズはこのほかに220mlと450mlもあります。チタン製なのでとっても軽い

二重構造になっていて、熱い飲み物を入れてもカップが熱くなりすぎないので、安心して口を付けられます。ハンドル部分は折り畳めるので、持ち運ぶ時にじゃまにならないのもうれしい。

行動食

行動食とは、山歩き中に消費するエネルギー補給をするための食料のこと。歩きはじめてから昼食まで何も食べないでいるとエネルギーが足りなくなるので、途中で少しずつ食料を補給する必要があります。

おやつ、パン、おにぎり、ゼリー飲料など様々なものがあるので、好みにあわせて選びましょう。手間をかけずに食べられるもの、効率よくカロリー摂取ができるもの(炭水化物)がおすすめです。

疲れてくると甘いものが欲しくなるし、汗をかくと塩分をとった方がいいので、溶けにくいチョコレート(M&Mなど)とか、塩味のついたナッツとかをよく持っていきます。

最近のお気に入りはカレーカシューナッツです

救急用品(ファーストエイド)

「ファーストエイドキット」とは、ケガなどが起きた時に最初に行う処置のための道具のセットのこと。
ケガや体調不良になった場合など、いざという時のための備えとして必ず持っていきましょう。

下記の最低限用意しておくべきものに加えて、個人の体質にあわせて必要な医薬品も持っておくと安心です。

緊急時には自分以外の人が使うことも想定して、誰が見てもわかるような救急マークの入った赤色のポーチや袋にまとめて入れておくのが理想的です。

用意しておくべき救急用品
  1. 絆創膏
    ・擦り傷や切り傷、靴擦れがあった時に備えて、サイズ違いのものを数枚用意しておく
  2. 滅菌ガーゼ、包帯
    ・止血する時に傷口にあてて使用。個包装されているものが衛生的によい
  3. 毛抜き、ハサミ
    ・毛抜きはトゲを抜く時に使用
  4. テーピング
    ・足首を捻挫した場合の固定のほか、予防靴底がはがれた時の補修にも使える
  5. 三角巾
    ・止血したり、足や腕の固定や吊り下げなどに使用
  6. 医薬品
    ・個人の体質にあわせて鎮痛剤や胃薬、下痢止めなど
  7. ポリ手袋、ポリ袋(チャック付)
    手袋は傷の手当などに使い、汚れたガーゼなどは感染症予防のため密閉できるチャック付の袋を入れる
  8. ポイズンリムーバー
    ・虫に刺された際に毒液を吸引するもの

バッテリー、予備電池

山の中ではスマートフォンの電波が入りにくいところも多く、寒い時期もありますので、普段よりもバッテリーの消耗が早いことがあります。

地図アプリではGPSを使用しますので、途中で電源が切れることを心配をしなくてもいいように、スマートフォンの充電に使用する予備のバッテリーを持っていきましょう。もちろんコードも忘れずに。

タオル、手ぬぐい

汗を拭ったり、雨に濡れた場合に使用。手ぬぐいはタオルよりも乾きやすく、コンパクトなので持ち歩きにも便利です。暑い時だけではなく、寒い時に首に巻くのも暖かくなるのでいいですね。

お土産としてオリジナルの手ぬぐいをつくっている山小屋も多く、素敵なデザインのものが多いので、その山を訪れた記念に購入してコレクションするのも楽しいです。どれもかわいいので、買いすぎ注意。

状況にあわせて持っていくといい道具

行先や季節にあわせて持っていった方がいい道具、あったほうが楽しめる道具もいろいろありますので、状況にあわせて用意しましょう。

スマートフォン

紙の地図と併用して地図アプリも使用するととても便利で安心。

YAMAP」や「ヤマレコ」などのアプリでは、GPSを使用して現在位置を把握することができます。正しいコースから外れた道を歩いている場合でも、早めに間違いに気づくことができるので安心です。

私は実際にアプリを使っていたおかげで、違う方向に向かって歩いていることに気付いて戻り、助けられたこともあるので、いつも必ず使用しています。

またその日に歩いたコースを記録して残すことができるので、後から見返す際にもとても便利。他の人が歩いたコースを見ることで、リアルに状況をイメージしやすいので、いつも活用しています。

グローブ(手袋)

防寒対策だけではなく、地面や岩場に手をついた際にケガをしないためにつける場合もあります。すべり止めがついているものや防水のもの、フリース素材の暖かいものなどいろいろあるので、用途や状況にあわせていくつか用意しておくのがおすすめ。

化繊やウール素材の乾きやすいものが快適で、指の先端がスマホ操作できるようになっているものも便利です。

トレッキングポール(ストック)

トレッキングポールを使用することで、荷重を腕にも分散させて足への負担を軽くしたり、バランスをとることができます。なくても問題なく歩くことはできますが、あるととても楽です。

私は登山をはじめてから3年ほどはトレッキングポールの便利さを知らず、使っていませんでした。その後友人にすすめられて購入してみたところ、慣れるまでに何回か必要でしたが、コツを覚えたらその安定感と足の楽さが実感でき、今では毎回必ず持っていくようになりました。

コンパクトになる「折りたたみ式」と、丈夫な「伸縮式」があります。素材は耐久性があり価格が安い「アルミ製」と、高価だが軽い「カーボン製」があるので、好みや予算によって選びましょう。

ちなみに私は、カーボン製の折りたたみ式のものを使っています

帽子

帽子は日差しをさえぎってくれるほか、寒さから頭部や耳を守ってくれる場面もあるので、季節や状況にあわせたものを用意して持っていきましょう。汗をかくこともあるので、化学繊維やウール素材のものがおすすめです。

サングラス

高度が高くなるほど紫外線量が増えるので、特に高い山に登る際には、紫外線カット機能が付いたレンズのサングラスをかけて目を守るのがおすすめ。

紫外線が目に入り蓄積されていくと、目の炎症やダメージを引き起こすことがあるので気を付けておきたいですね。

側面から紫外線が入り込みにくい形状のものであるかどうか、自分の顔にフィットしてズレにくいかどうかをチェックして選びましょう。

カメラ

キャノンのカメラG1X

特に写真にこだわりがないという方は、スマートフォンのカメラだけでもいいかもしれません。

しかし山では足元が不安定な場面も多いので、誤ってスマホを落としてしまうこともありますし、GPSを作動させているとバッテリーの減りが早いので、スマホをカメラとしてまで使用すると、あっという間に充電がなくなってしまいます。(私が写真を撮りすぎなのかもしれません・・・。)

山では本当に美しい景色やハッとする瞬間に出会うことがたくさんありますので、それを写真や動画に記録して、後から見返すことも楽しみです。

山に行くようになってから以前よりも更にカメラや写真が好きになりました。
スマホとは別にカメラ持っていくことをおすすめします。

ヘルメット

日帰り登山で必要になることは少ないかもしれませんが、落石があったり、滑落した際などに頭を守ってくれますので、ヘルメットの着用が推奨されている山域へ行く際には用意しましょう。

終わりに

最初から全部用意するのは大変なので、必ず必要なもの以外は、何度か山に通いながら少しずつ揃えていければいいのではないかと思います。

登山の道具は高価なものも多く、思い付きでとりあえず用意すると結局後から買い直しすることになりもったいないので、性能などをよく調べながら購入していきましょう。

私は好きな道具や服が揃っていくにつれて、それを使ったり着たりするのが楽しみになり、更に山の楽しさが増していきました。

性能はもちろん大事だけれど、趣味の道具なのでそれを持つこと、使うことでの満足感もあるとうれしいですよね。デザインや色などの見た目が自分の好みにあうか、ワクワクするかどうかも大切に。

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